だいすけろくの日々

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イタリア旅行2024覚え書きDAY10-1

おはようございます。

3月14日(木)、イタリア旅も折り返しに差し掛かる10日目です。かなり盛りだくさんだったので、2回に分けて書こうと思います。

ガッツリとミラノ観光できる最初で最後の日ということで、7時に起床し、宿の朝食をいただいてから観光に出発です。8時過ぎに宿を出ました。

宿の前の通り。宿はミラノ中心街から外れた場所にあるため、観光客の姿はほとんどありませんが、地下鉄駅のそばなのでアクセスは問題ありません。

 

雑貨市

地下鉄駅の出入り口付近で雑貨市が開かれていました。ボローニャの雑貨市と比べたらかなり小規模ですが、品物は安いです。靴下一足1.5ユーロ(約240円)、男性向け下着に至っては一枚驚きの1ユーロ(約160円)。躊躇わずにトランクスのパンツを購入。

地下鉄はかなり深いところを走っています。エスカレーター長い。モスクワの地下鉄を思い出します。モスクワの方がかなり深いですが。

 

ミラノのドゥオーモ

地下鉄で3駅でミラノの中心部に聳え立つドゥオーモに到着です。14世紀に着工し、建設にはレオナルド・ダヴィンチも携わったとされるカトリックのミラノ大司教区が管轄する大聖堂です。

地下鉄駅から地上に出たらいきなり目の前に現れ、見る者を圧倒する存在感です。これは初めてサグラダファミリア以来の衝撃かもしれません。ドゥオーモと呼ばれる場所はフィレンツェにもありましたが、規模はこちらが上ですね。

開場時間は9時からで、20分くらい時間があったため、付近を散策しました。チケットは日本でこの後行く「最後の晩餐」見学ツアーとのセットで8,000円で購入しました。

誰かの銅像。足元のライオンが強そう。

ドゥオーモの北に続くヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリア。昼頃には大混雑しているでしょう。

ここに店を構えているのはルイヴィトン、フェルガモといった世界に名だたるブランド店ばかり。レストランは朝食セットが20ユーロ(約3,200円)通常メニューは一皿25〜35ユーロもします。高嶺のお花。

ガレリア内を巡回する女性警察官2人。かなり制服がお洒落です。あと、むちゃくちゃ垢抜けた天使のように美しい女性とかなりの確率ですれ違います。これまでの街よりも一段と洗練されている感じです。宿の周辺とは世界が違う。

そういえばミラノは2026年の冬季オリンピックの開催地でしたね。

 

そうこうしているうちに9時過ぎになったのでドゥオーモに入場しました。

荘厳という言葉がこれほど当てはまる場所はないと思いました。ダイナミックに見えて、細部にまで繊細な彫刻がなされています。

ステンドグラスも見どころのひとつ。よく見ると1枚1枚にストーリーがあり、それがガラスごとに連続しているのがわかります。これは見応え充分です。

カトリック教徒の人がお祈りするコーナー。もちろん観光客もお詣りできますが、わしは仏教徒なので遠目にながめるだけにしておきました。

パワーアップしたマハトマ・ガンジーみたいな像。誰なのか気になりました。

見学していたら、日本人の団体旅行者(見た感じ学生っぽかった。大学の卒業旅行かな)グループが日本語ペラペラなイタリア人ガイドのおばちゃんに率いられて続々と入ってきたので、ふらりとついていってしばらくガイドさんの解説を盗聴してから退館。

他にも、10人くらいの年配の日本人グループも見ました。昨年のフランスとスペインでは日本人旅行者には1人も出会わなかっただけに驚きました。日本人の海外旅行熱も復活しつつあるみたいですね。

残念だったのは、ドゥオーモ地下の宝物庫には予約していたチケットでは入場できなかったことと、補強改修工事のためにドゥオーモの屋上に上がれなかったことです。

ドゥオーモから出ると、入る前とは打って変わってドゥオーモ前の広場は凄まじい人の群れ。すると、いきなり後ろからパン屑の握られた黒い手が差し出されて少し驚きました。黒人が

「マイフレンド、ピジョンピジョン

と連呼し、ニヤけながらパン屑を差し出しています。これはガイドブックでも注意喚起されている手口で、ターゲットの観光客にパン屑を握らせ、それを目当てに集まってきたハトの群れを手や肩にとまらせて記念撮影して、後で法外な撮影料金をボッタくるやつです。睨みつけたら苦笑いを浮かべながら引っ込みました。

しかし、実際にやられている人がいました。たぶんアジア人。たぶんこの後黒人からせびられます。

 

『最後の晩餐』見学

ドゥオーモ見学の後は、この日のメインイベントでもある、レオナルド・ダヴィンチの代表作『最後の晩餐』の見学ツアーに参加すべく、この絵が飾られているサンタマリア・デッレ・グラッツェ教会に向かいました。

ドゥオーモから徒歩20分くらいの道のりです。教会全体が世界遺産に登録されています。

元々は個人でチケットを買って見学する予定でしたが、1月に検索したところ、そもそも人数制限と時間制限が厳格になされている特性上、チケットの競争倍率は凄まじく、すでに完売。1度はそれで諦めたものの、先月にツアーで再び検索したら普通に見学ツアーが募集中で、ドゥオーモの入場券と合わせて予約した次第です。

ツアーは英語でなされるそうで、日本語対応のツアーもあるにはありましたが、最少参加人数が2人からだったり、費用が英語のものの倍以上したりと、条件的に厳しいものばかりでした。

集合場所で点呼を取ると、サブガイドのドローレスさんが音声ガイドを配布します。参加者は15人。国籍も様々。イギリス、デンマークなど、ヨーロッパの他の国の人がほとんどでした。日本人は例によってわし1人。

音声ガイドが行き渡ったところで、ガイドのジョルジーナさんが登場。小柄なおばあちゃんですが、知識量とわかりやすさが半端なかったです。ドローレスさんはサポート役。

まずは受付でチケットを受け取り、荷物を預けます。

『最後の晩餐』が飾られている部屋に入る前に、ジョルジーナさんからレオナルド・ダヴィンチの生涯からサンタマリア・デッレ・グラッツェ教会の簡単なあらましについてレクチャーがありました。当時の写真などを駆使して分かりやすく教えてくれました。我々はよくダヴィンチと呼びますが、これは姓ではなく、彼が生まれ育ったフィレンツェ郊外のヴィンチ村にちなんだ通称で、フルネームの意味は「ヴィンチ村のレオナルド」だそうです。

『最後の晩餐』は、1495年に製作開始、完成が1498年の大作で、ダヴィンチは当時の宗教画の主流であったフレスコ画ではなく、当時はまだ誰も試みたことのないテンペラ画法を用いたため、塗料の湿気や気温の変化への弱さのために劣化が激しく、今日まで凄まじい努力と試行錯誤によって修復と保存がなされてきたそうです。しかし、ダヴィンチが当時用いた塗料の50パーセントは既に失われているとか。つまり、当時のオリジナルの部分は半分くらいしかないのです。

また、サンタマリア・デッレ・グラッツェ教会は現在も修道院として現役だそうです。写真の白い衣をまとった人が修道士です。作品が描かれたのは15世紀当時の修道院の食堂。

レクチャーがひと段落したところで、部屋の自動扉が開きました。そこをくぐると

ついにレプリカではない、オリジナルの『最後の晩餐』とご対面でございます。

しかし、鑑賞に与えられた時間は25分間しかありません。以前は撮影禁止だったそうですが、今ではフラッシュを炊かないことと動画でないという条件下でなら撮影可能とのことで、皆懸命に撮影していました。

この絵は新約聖書の有名なエピソードである、イエス・キリストが12人の弟子と食事の最中に、

「この中の1人が私を裏切るだろう」

と言ったシーンを描いたもので、その時の弟子たちの動揺が生々しい描かれています。ジョルジーナさんによれば、ダヴィンチは画法以外にも人間の心理と行動の研究にも熱心だったようで、悪だくみをしている人間がそれを言い当てられた時にどうリアクションを取るかを表現しているとのことでした。万能の天才と呼ばれたダヴィンチの一面を見た気がしました。

キリストの左側、左側から2人目の色黒の男がキリストを裏切ってローマ総督に密告したイスカリオテのユダで、彼の右手にはローマ側から先払いされた密告の報酬の金貨が握られているそうです。周りの弟子たちが信じられないとややオーバーにリアクションをする中、全く動じていないようです。自分のやましさを見透かされて凍りついたようにも見えます。

実際にこの晩餐の次の日の晩にキリストはユダの密告を受けたローマ兵によって逮捕されてしまいます。そして十字架で磔刑に処されたのは周知の通り。

制限時間が過ぎて退室してから、ジョルジーナさんから最後に、『最後の晩餐』が奇跡の作品とされている所以についてレクチャーがありました。最大の危機は第二次世界大戦。イタリアはドイツや日本と共に枢軸国で参戦していましたが、それにより1943年のミラノの空襲でサンタマリア・デッレ・グラッツェ教会も半壊してしまいました。しかし、『最後の晩餐』が描かれた壁の部分は奇跡的に残り、また当時の修道士たちが雨風に晒されないよう懸命に保護してくれたおかげで以後の修復作業も続けられることができたのだそうで、まさに奇跡とそれに続く多大なる努力によって、今こうして鑑賞できるのだな、とそのありがたみを噛み締めることとなりました。

他にもジョルジーナさんからはなかなか興味深い話をいくつか聞くことができましたが、ここまでで充分長くなってしまっているのでここでは割愛させていただきます。

そんな感じで、トータルで1時間少々という短いツアーでしたが、楽しくも教養たっぷりで有意義な時間を過ごせたと思いました。ジョルジーナさん、ドローレスさんありがとうございました。

 

長くなったので一旦ここまで。

 

つづく