だいすけろくの日々

だいすけろくが呟きます。旅ネタ多め✈️

思い出のM先生 2

昨日の続きです。

 ゼミの初回は、ほぼ全員がM先生とは初対面ということで、自己紹介と研究テーマの概要の簡単なプレゼンで終わりました。ただ、わしが大学院進学希望の旨を述べると、M先生が薄ら笑いを浮かべながら

「それならまずは語学すなわちロシア語が必須ですよ。この大学の初習外国語にはロシア語はありませんからね。初級レベルから独学でやっていただかないと」

と言いましたが、わしは

(そりゃ当たり前や、ロシア語なんてドンと来いや❗️)

といった感じでまだ余裕かましていました。

 

講義科目でM先生の本性を知る

 

  M先生との関わりはゼミだけではありませんでした。当時4回生だったにも関わらず、卒業要件単位である西洋史概説の授業の単位がひとつ未修得だったわしは、その概説を受講登録し、受講することになったわけですが、西洋近代史概説のその授業の担当教員がM先生だったのです。*1

 まず、その授業スタイルが衝撃でした。M先生は自作のパワーポイントで講義を進めるわけですが、多くの授業で教授が配布するレジュメは一切ありません。成績評価は試験と出席点なので、試験で点を取るためにはノートやらルーズリーフやらに手書きでパワーポイントの文面をひたすらメモしていくしかないのです。携帯やパソコンのキーボードに慣れてしまっていて、文字を手で書くという行為から離れて久しい我々にとって、これは苦行そのもの。瞬く間に手首に痛みが走るようになりました。すると、そんな空気を察してか、M先生が薄笑いを浮かべながら言いました。

「えー、みなさんは、こんな非効率なことさせなくとも、レジュメを配ったり、キャンパスウェブでパワーポイントの内容を公開すればいいのに、とお思いでしょうね。でも、これはレジュメだけ取って途中退室したり、終盤に入って来てレジュメだけもらうような非常識極まりない方を防ぐために敢えてこうしています。異論は認めません」

我々受講生たちの間で、この先生ヤバくね、的な空気感が出来始めたその時、突然M先生が声を荒げました。

「今入ってきた人❗️理由があるならハッキリと説明しなさい‼️

ゼミ生ではありませんが、受講生である文学部の学生のひとりがスーツ姿で授業終盤に入室してきたのでした。

「は、はい、しゅ、就活の説明会で・・・」

「ならなぜ公欠届け*2を出さなかったんですかっ⁉️ちゃんとシラバスにも書いたし、常識ですよね。ダメです、出て行ってください、さあ、早く‼️

すごすごと退室する彼。そして受講生全員がM先生の苛烈な人となりを理解したのでした。まさに、リアル『女王の教室』。*3で一緒に受講していた古代史ゼミの友人のわしを憐れむ眼差しは忘れられません。

 

ゼミのプレゼンで怒られまくる仲間たち

 

そして、翌週からは我々4回生のプレゼンが始まっていくわけなのですが、ここでもM先生の『女王の教室』主演の天海祐希を凌ぐ恐怖政治は全開、犠牲者が続出します。

 最初の犠牲者は、元高校球児で近代イタリア政治史がテーマのY君でした。彼は教職課程を履修していて教員志望、研究テーマも前年に高橋先生から

「まあ、イタリアはなかなかいい目のつけどころだと思いますよ、頑張ってください」

と言われてそれなりに自信満々だったのですが、プレゼンが進むにつれてM先生の機嫌はみるみるうちに悪くなっていき、プレゼンは打ち切り、理論の薄っぺらさを批判されるのに始まり、参考文献の偏り、イタリア語の資料を用いていないこと、さらにはイタリア語を読めない*4ことを詰められ、さらに教員としての適性、人格までもけちょんけちょんに批判され、見たことがないくらい凹んでいました。

 最後にM先生は、Y君に

「かなり厳しいこと言いましたが、大丈夫ですか。これは愛の鞭とでも思ってください」

とフォローするような声をかけましたが、すっかり萎縮していたY君は

「だ、大丈夫っす」

と答えるのがやっと。すると、以後、プレゼンのゼミ生は皆、男女問わずボロカスに怒られ続けるようになっていったのでした。そして、わしも当然のようにその難を逃れることなどできなかったのでした。

 

長くなったので、今回はここまで。

 

つづく

(写真は2017年に訪れたロシアのサンクトペテルブルクエルミタージュ美術館の外観)

*1:内容は、18世紀のヨーロッパとロシアの貿易。M先生の専門分野

*2:当時は教育実習や体育会の大会を除いては有名無実化していた

*3:2005年に放送されていた天海祐希主演、志田未来出演のドラマ。とにかく天海祐希演じる女性小学校教師が怖すぎる

*4:Y君の選択外国語はフランス語。ならわしはどうなる⁉️